ひと時の平安を得ても…

ある精神科医が末期の癌であると告知を受けた後に手記を残しました。その中で彼は次のように記しました。「癌になると、そのうちの何割かは必ず死に至ることを覚悟しなければならない。いや別に癌に限るまい。どんな人間でもいずれ死なねばならない。それをどういうわけか難病が治ると本人も周囲も大喜びして祝う。まるでその病気が治ったら、その後100年も200年も生きて行けるかのように錯覚しているのではないか。実際は、単に、今回の病気が死因ではなく、別の理由で死ぬだけのことなのだ。人間は何かで死ななければならない。」
彼は現実を見据えていました。そして、2001年4月に亡くなりました。
私たちは人生の中で、病気、経済的問題、人間関係などの様々な苦しみを抱えます。そうなるとその問題を解決しようと心を注ぎ、解決できたならホッと安心するものです。特に今は、コロナウイルスが早く終息して欲しいと願っています。もし特効薬ができたなら、誰もが喜び、安心することでしょう。しかし重要な現実があります。たとえコロナウイルスの問題が解決できたとしても、最も大きな問題は解決されていないということです。それは「死」です。死の問題が解決されない限り、人間は本当の平安と喜びを得ることはできません。

聖書が語る死と死後

『また私は、死んだ人々が大きい者も小さい者も御座の前に立っているのを見た。数々の書物が開かれた。…死んだ者たちは、これらの書物に書かれていることにしたがい、自分の行いに応じてさばかれた。』(ヨハネの黙示録20章12節)

人間は死んだ後、神の御前に立たされます。その時、神の御手には人が生きている間にしたすべてのことを記録した書物があり、そこに記されていることにしたがって、人は裁きを受けるのです。この時、あなたは義なる神の御前に自分が無罪であると主張できるでしょうか?もし仮に、あなたの全生涯の記録が映像として流されたならどうでしょう。そこには人に見られたくない振る舞いや聞かせたくない言葉が流れているのです。あなたの忘れていることもすべてです。実に、神はそのすべてを知っておられます。全ての人は、神から有罪判決を受け、地獄へ行かなければならないのです。
ある人は、「そんなことで脅すなんて」と思われるかもしれません。しかし地獄での裁きは、天地を創造された神が聖書を通して警告しておられることです。例えば、医者が深刻な病であることを告げることは脅しでしょうか。決してそうではありません。それどころか、必要な治療を受けるためには、事実を告げなければなりません。神も燃える火の池である地獄からあなたを救うために、事実を語っておられるのです。

地獄からの救い

実に神は、地獄の裁きからの救いを与えてくださいます。

『キリストも一度、罪のために苦しみを受けられました。正しい方が正しくない者たちの身代わりになられたのです。』(ペテロの手紙第一3章18節)

神は、ご自分のひとり子であるイエス・キリストをこの世に遣わされました。そして、イエス様は「正しい方」であられるのに、「正しくない者」である私たち罪人の身代わりとなって、十字架上で、罪に対する裁きを受けて死んでくださいました。イエス様は墓に葬られましたが、死後三日目によみがえられました。そして多くの人々の前に現れ、ご自分が真実によみがえったことをはっきりと示されたのです。イエス様はよみがえられた後四十日たってから、弟子たちの見ている前で、生きたまま天国に帰って行かれました。
このことを目の当たりにした弟子たちは、イエス様こそ死の力を打ち破り永遠に生きておられる本当の神であり救い主である、と力強く宣言し始め、新約聖書を記してこの事実を広く述べ伝えて行きました。その結果、十字架から30年ほどの間に、当時のローマ帝国全土にこの救い主が伝えられました。

車も飛行機も、電話もインターネットもない時代に、このような速さで、あのように広大な範囲にまでこの救いの知らせは伝えられ、受け入れられていったのです。それは、イエス・キリストの復活が事実であり、またこの方を信じた人々に、人間にとっての最大の問題である死と死後の問題の完全な解決があったからです。

『預言者たちもみなイエスについて、この方を信じる者はだれでも、その名によって罪の赦しが受けられると、証ししています。』(使徒の働き10章43節)

イエス・キリストこそ、罪の問題を完全に解決された御方であり、あなたに永遠のいのちを与え、本当の平安と喜びを与えることのできるお方です。イエス・キリストを信じて永遠のいのちを得た者にとって、死は絶望の時ではありません。天国に入る喜びの時です。
どうか、ご自分の死の現実を直視し、解決を得てください。そして、天国に行ける喜びをもって生きる方となってください。

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